日商簿記3級検定試験は2019年度から出題範囲が変わりました。
今まで個人商店を前提としていた内容が、株式会社を前提とした内容に。
新しい取引が追加される一方、実務に関係ない内容は削除しています。
さらに2020年12月からはネット試験が開始。
2021年度からは新形式の試験に変わり、簿記検定は変化していきます。
簿記3級は簿記学習の入門編。
幅広い層からのニーズがある資格です。
今回は「簿記3級過去問5回分の例題からわかった解答・解説の分析まとめ」についてお伝えします。
簿記2級 | 簿記3級 | |
---|---|---|
受験科目 | 商業簿記 | 商業簿記 |
工業簿記 | ||
難易度/合格率 | /10%〜30% | /40%〜70% |
問われる内容 | 高度な商業簿記・工業簿記の習得。 | 基本的な商業簿記の習得。 |
財務諸表を読んで経営内容が把握できるなど、会計実務を踏まえた処理や分析を行うことができる。 | 小規模の企業や個人商店における会計実務を踏まえ、経理関連書類の適切な処理を行うことができる。 | |
試験形式 | 紙ベースの記述式・パソコンを使用したネット受験 | 紙ベースの記述式・パソコンを使用したネット受験 |
受験資格 | 誰でも可 | 誰でも可 |
試験料 | 4,720円(税込) | 2,850円(税込) |
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簿記3級の過去5回の出題傾向
日商簿記3級検定試験の出題数は全5問で構成。
得点配分は第1問が20点、第2問、第4問が10点、第3問、第5問が30点の配点で100点満点。
合格基準は70点以上です。
- 第1問:仕訳問題
- 第2問:帳簿記入、勘定記入など
- 第3問:試算表作成、財務諸表作成
- 第4問:伝票会計、勘定記入、訂正仕訳、決算整理仕訳など
- 第5問:精算表作成、財務諸表作成
第1問は仕訳形式の問題が5問(各4点)出題。
(2021年度からの新形式の試験では15問出題されます)
使用する勘定科目が決まっているので、ここでは満点を目指したいところ。
第2問では帳簿や勘定の記入の出題ですが、商品有高帳の出題頻度が高いので必ずできるようにしておきましょう。
第3問は試算表の作成の出題がほとんどで、まれに財務諸表作成が出題されることがあります。
試算表作成を中心に、どちらの問題が出ても良いように学習しておきましょう。
第4問は比較的簡単な内容であることが多いです。
ここでしっかり得点を稼げるように取り組みましょう。
第5問の精算表作成、財務諸表作成は、演習を繰り返し出題形式に慣れておくことで得点できます。
簿記3級の過去5回の問題を分析
簿記3級は合格率が高めの資格です。
合格率が大きくぶれることは少なく、比較的安定した状況。
過去5回の試験内容は、全体的に難易度は易しい問題が出題されています。
第157回日商簿記3級検定試験
試験日:2021年2月28日実施
合格率:67.2%(40,129/59,747名)
基本的な問題が多く出題されたため、解きやすい内容でした。
普段の学習がしっかりできていれば、成果が得点に結びつく問題で手応えのあった受験生が多数いたようです。
ボリュームが少なめだったので、時間に余裕ができたと思われます。
第2問があまり見慣れない内容で少し難易度の高い問題でしたがそれ以外は易しい出題でした。
配点の大きい第1問、第3問、第5問がしっかり解けたかどうかで合否が分かれるところです。
第156回日商簿記3級検定試験
試験日:2020年11月15日実施
合格率:47.4%(30,654/64,655名)
普段の学習で学んでいることが出題されています。
ちゃんと学習していた方は成果が反映される良問でした。
第2問は少しだけ難易度が高い問題でしたが、配点が少ないので多少のミスは大丈夫。
第3問は内容は難しくありませんがボリュームが多く、時間がかかる内容です。
しかし、じっくりと時間をかければ解けた問題でした。
第3問と第5問に時間がかかった方が多いと思われます。
第154回日商簿記3級検定試験
試験日:2020年2月23日実施
合格率:49.1%(37,744/76,896名)
配点比重の高い第1問、第3問、第5問の出題が易しく、得点しやすい内容でした。
対して、第2問、第4問は難しかったのですが、中でも第4問が比較的難しい問題。
3級の学習をしっかりとしていても理解が難しかった部分がありましたが、全て理解する必要はありません。
配点比重が低い設問だったこともあり、合否に影響は少なかったでしょう。
テキストと問題集をしっかりと仕上げている方には時間の余裕ができた試験内容でした。
第153回日商簿記3級検定試験
試験日:2019年11月17日実施
合格率:43.1%(34,519/80,130名)
2019年度の範囲改定の内容が出題されていました。
事前に学習した内容がそのまま試験に出題されていたため、テキストと問題集の学習だけで対応できた内容。
第2問が難易度が高かったのですが、配点比重が低いため、得点できなくても合格することは可能です。
例年と比べて第3問、第5問の仕訳のボリュームが大きかったことから、難易度が上がり解く時間がかかったと思われます。
丁寧に正確に解いていれば合格できたでしょう。
第152回日商簿記3級検定試験
試験日:2019年6月9日実施
合格率:56.1%(40,624/72,435名)
第153回と同じく、2019年度の範囲改定の出題。
そのため、難しい問題は出題されず過去の試験と比較しても同レベルもしくは易しめ。
全体的にテキストや問題集で演習していたような易しい内容で、得点が取りやすい出題内容。
事前対策がしっかりできていれば高得点が狙えたので、合格率も高くなりました。
第155回簿記3級検定試験は、感染症の影響により中止。
簿記3級は「簿記の入門」と言われるだけあって、テキストと問題集でしっかりと対策をしておけば合格の可能性が高い資格。
第1問、第3問、第5問で高得点を取ることが合格する秘訣ということがわかります。
しかし、2021年度から新形式の試験になることで、日商簿記3級検定試験は変わります。
そのため、対策方法も変えなければなりません。
簿記3級の学習方法
簿記3級は2021年度から新形式の試験になります。
試験時間・出題形式が変わります。
試験時間が従来の120分から60分へと半分の時間になるため、スピードと正確性が求められることに。
そのため、合格するには演習量を増やす必要があります。
出題形式は大きく変わり、今までの過去問を解くことに意味がなくなりました。
2021年度以降の試験に対応した問題集をたくさん解くことが重要。
今後の統一試験は難易度が難しくなると予想されています。
しかし、出題範囲の変更はほとんどないので、今までどおりテキストと問題集を使っての学習方法で大丈夫です。
出題数は全5問から3問に変わりました。
設問 | 配点 | 出題内容 |
---|---|---|
第1問 | 45点 | 仕訳(一部証憑書類あり) |
出題数:15問 | ||
第2問 | 20点 | 勘定記入・補助簿・伝票・理論 |
補助簿の選択・証憑書類 | ||
第3問 | 35点 | 精算表・決算整理後残高試算表・財務諸表 |
第2問はどの論点が出るのかわからないことや第1問と第3問の配点比重が高いことから、第1問と第3問で合格点を取ることが理想。
勘定記入が出題内容にある第2問の試験対策としては、仕訳と同時に元帳を作成し、転記の練習をすると良いでしょう。
仕訳と転記を同時に学ぶことで学習効率が上がります。
簿記3級の過去問は入手可能?
日商簿記3級検定試験の過去問は著作権の都合で、ネット上での公開はありません。
今までは教育機関に請求し、前回試験分を無料で送付してもらうという方法があったのですが、2021年度から試験問題の公開が1級のみと発表があり、2級3級は非公開となりました。
それに従い、以前は無料送付を行っていたクレアールやTAC、資格の大原なども残念ながら3級の過去問無料送付サービスを終了しました。
過去問を無料で入手する方法は、今現在ではおそらくないでしょう。
独学でも取得可能な簿記3級。
しかし基礎をしっかり理解しておかないと2級も苦戦します。
独学で自信がない方は通信講座も利用するのも1つですよ。
通信講座はプロが作り上げた問題で学習できます。
通信講座 | 講座名 | 特徴 |
---|---|---|
ユーキャン | 簿記3級講座 | ・受講期間:3ヶ月 |
・オリコン顧客満足度調査2年連続第1位 | ||
たのまな | 簿記検定3級講座 | ・受講期間:3ヶ月 |
・充実のサポート体制 | ||
スタディング | 簿記3級合格コース | ・受講期間:約6ヶ月 |
・学習をオンラインのみで完結 | ||
クレアール | 3級パックコース | ・受講期間:検定目標月まで |
・必要なことだけを学習する非常識合格法 | ||
フォーサイト | 3級講座 | ・受講期間:本試験(統一試験)前日まで |
・eラーニング「ManaBun」で場所や時間を選ばず学習 | ||
資格の大原 | 3級合格コース | ・受講回数:全17回 |
・大原の講師が作成するオリジナル教材 |
まとめ
今回は「簿記3級過去問5回分の例題からわかった解答・解説の分析まとめ」についてお伝えしました。
ポイント
- 第1問、第3問、第5問の得点比重が高いもので得点を稼ぐ
- 試験内容の難易度は易しめ
- 2021年度から新形式の試験に変更
- 新形式は時間が減るのでスピードと正確さの両方が必要
- 基本的には従来どおりのテキストと問題集で学習
- 難易度が上がると予想されているため、演習量を増やし繰り返し学習することが合格への近道
- 試験問題の公開がなくなり、過去問の送付サービスも終了
資格試験の中では、比較的難易度が易しく勉強しやすい資格の日商簿記3級検定試験。
2019年度に改定があり、2021年度には新方式の試験になります。
新形式になり難易度が上がっていくとも言われていますが、基本的な学習方法は今までと変わりません。
演習を繰り返し、合格を目指しましょう。
なかなかうまく勉強するのが難しい方は通信講座等を利用するのも手ですよ。
スマホで学べる&手厚いサポート付きだから安心