この数年間で日商簿記検定の出題区分は大幅な改定がありました。
それにともない、日商簿記2級検定試験は難化。
年々難しくなっているのが実情です。
しかし、2021年度から新形式での試験が始まり、簿記検定も大きく変化していくことになります。
日商簿記2級を持っていると大学の推薦入試に有利。
また、経理職を希望する場合、日商簿記2級保有を条件としている会社も多く、就職・転職に有利な資格です。
今回は「簿記2級過去問5回分の例題からわかった解答・解説の分析まとめ」についてお伝えします。
難易度/合格率 | / 15%〜30% |
試験形式 | 紙ベースの記述式・パソコンを使用したネット受験 |
勉強方法 | 独学・通信講座・通学 |
受験資格 | 誰でも可 |
試験料 | 4,720円(税込) |
スマホで学べる&手厚いサポート付きだから安心
簿記2級の過去5回の出題傾向
日商簿記2級検定試験の出題数は全5問。
出題は、第1問から第3問が商業簿記、第4問、第5問が工業簿記です。
得点配分は全て同じで各20点ずつの配点。
100点満点で、70点で合格です。
商業簿記
第1問:仕訳問題
第2問:帳簿関係、勘定記入など
第3問:決算をともなう総合問題
第1問は仕訳形式の問題が5題(各4点)
使用する勘定科目が決まっているので、繰り返し演習をし、しっかり得点することが重要です。
第2問、第3問はバラエティに富んだ出題形式で、近年では難問が多くなっています。
しかし、どの出題形式でも基本となる仕訳を確実にできる必要があり、理解しているかがポイントです。
工業簿記
第4問:費目別計算、部門別計算、個別原価計算、総合原価計算、本社工場会計、勘定記入など
第5問:個別原価計算、総合原価計算、標準原価計算,直接原価計算など
第4問、第5問のいずれも、どの論点からの出題でも対応できるように勘定の計算、処理を確実にしていく必要があります。
計算のポイントおさえ、計算ミスのないようにしっかり演習し、マスターしていきましょう。
簿記2級の過去5回の問題を分析
難化が続いていると言われている日商簿記2級検定試験。
過去5回の試験内容も難易度の高いものが多く出題されました。
特に第2問、第3問が難しい傾向にあります。
第157回日商簿記2級検定試験
試験日:2021年2月28日実施
合格率:8.6%(3,091/35,898名)
第157回は第2問と第3問に難易度の高い問題が登場したため、合格率は8%台と過去にない低さでした。
特に第2問は超難問で、税理士試験簿記論の問題に近いという話まで上がったほどです。
第2問、第3問はいったんとばして、第4問→第5問→第1問の順で解くのが効率的だったと言えるでしょう。
第156回日商簿記2級検定試験
試験日:2020年11月15日実施
合格率:18.2%(7,255/39,830名)
第156回は第2問と第3問のボリュームが非常に多く、難易度も高いものでした。
第1問、第4問、第5問の難易度は低く基本的な内容だったことから、こちらで失点してしまうと合格は厳しい状況に。
第1問、第4問、第5問を正確に速く解き、残りの時間を第2問、第3問にあて点を稼ぎ何とか70点に届くようにするという、大変厳しい試験でした。
第154回日商簿記2級検定試験
試験日:2020年2月23日実施
合格率:28.6%(13,409/46,939名)
一部の難しい問題を除いて解きやすい問題が多く出題されました。
事前対策がしっかりできていれば、8割前後得点できた内容です。
工業簿記の難易度が低く、商業簿記は時間のかかる問題だったので、工業簿記→商業簿記の順で解くとスムーズに進められたでしょう。
工業簿記を短時間で解き、商業簿記にたくさんの時間を使えたかどうかで合否が別れたと思われます。
第153回日商簿記2級検定試験
試験日:2019年11月17日実施
合格率:27.1%(13,195/48,744名)
全体的な難易度は低めでしたが、第3問に関しては非常に難問で簿記2級の問題レベルではないという声も上がっていました。
第3問は部分点を少し取っていれば何とかなった捨て問題と言えます。
それ以外は普通に簿記2級の学習を進めていれば、多くは解けた問題。
第2問は7割程度、得点が取りやすかった第1問、第4問、第5問が高得点を取れたかどうかで合否が別れたでしょう。
第152回日商簿記2級検定試験
試験日:2019年6月9日実施
合格率:25.4%(10,666/41,995名)
第152回は出題のレベルは普通。
解きやすい問題が多かったのですが、ボリュームがあるため時間がかかる内容でした。
第3問が少し難しい内容でしたが、それでも処理の仕方を把握していれば解くことは可能。
時間をかけて丁寧にかつ解くスピードが速ければ解ける問題が多かったでしょう。
基礎をしっかり固め、過去問を何度も解いていれば合格できたと思います。
最近の試験の中では、対策をした分だけしっかり反映された内容でした。
第155回簿記2級検定試験は、感染症の影響により中止。
それに対して2020年12月より開始したネット試験は標準的な問題が出題され、統一試験(従来の紙の試験)の難易度と差があります。
今後、簿記2級検定試験はどのような方向に進むのでしょうか。
2021年度から始まる新形式の検定試験から、簿記試験は大きく変わります。
簿記2級の過去問の学習法
2021年から新形式の試験となり、試験時間・出題形式・問題の難易度が大きく変わります。
そのため、従来の過去問を使って対策することができません。
今までの過去問などを解くことはおすすめできないので、2021年度以降の試験に出る内容の問題に対応している問題集や直前模試を利用して学習を進めていきましょう。
今までの試験内容は問題をじっくりと時間をかけて考え解く問題が多く、難しい問題が出題されていました。
しかし、新しい試験内容は標準的な内容なので、テキストや問題集の基本的な内容をしっかりと理解し、基礎的な問題を確実に得点することで合格が可能です。
学習の進め方は工業簿記→工業簿記を復習しつつ商業簿記の順で行うと効率的に学べます。
この順で学習すれば、今後出題されるかどうかはわかりませんが、商業簿記の要素が含まれた工業簿記にも対応ができ、問題がすんなり理解できます。
難易度が低かったネット試験ですが、2021年度からは統一試験と試験内容を同じ難易度に合わせることになりました。
簿記2級の過去問入手方法
日商簿記2級検定試験の過去問は著作権の関係上、ネット上では公開されていません。
今までは教育機関に請求することで、前回分を無料で送付してもらえたのですが、2021年度から試験問題の公開が1級のみと発表がありました。
そのため、2級の模範解答の公開はありません。
以前はクレアールやTAC、資格の大原などが過去問の無料送付を行っていましたが、残念ですがこちらもなくなりました。
なので、今現在過去問を入手する方法はおそらくないでしょう。
難易度が上がっている今、過去問を繰り返すだけでは合格する確率は低いでしょう。。
確実に取得したいなら通信講座も検討してみましょう。
通信講座 | 講座名 | 特徴 |
---|---|---|
ユーキャン | 簿記2級通信講座 | ・受講期間:6ヶ月 |
・オリコン顧客満足度調査2年連続第1位 | ||
たのまな | ・簿記2級通信講座 ・簿記検定2・3級講座 | ・受講期間: 4ヶ月 |
・充実したサポート体制 | ||
スタディング | 簿記2級通信講座 | ・受講期間:約1年 |
・オンラインのみで学習 | ||
クレアール | 2級パックコース | ・受講期間:約1年(検定目標月1年間保証制度あり) |
・非常識合格法など他社にはない勉強法 | ||
フォーサイト | 簿記2級通信講座 | ・受講期間:本試験(統一試験)前日まで |
・eラーニング「ManaBun」でいつでもどこでも勉強可能 | ||
資格の大原 | 簿記2級通信講座 | ・講義回数:全39回 |
・大原のノウハウを満載したオリジナル教材 |
まとめ
今回は「簿記2級過去問5回分の例題からわかった解答・解説の分析まとめ」についてお伝えしました。
ポイント
- 第1問から第3問が商業簿記、第4問、第5問が工業簿記
- 難易度は年々上がっていた
- 中でも第2問、第3問の難易度が高い傾向
- 2021年度から新形式の試験に大幅変更
- 新形式に変わり、標準的な内容から出題
- 基本をしっかり学び演習することで合格が可能
- 従来の過去問を利用しての対策ができなくなった
- 試験問題の公開がなくなり過去問の無料送付もなくなった
難易度が上がり続けていた日商簿記2級検定試験。
数年に一度改定しながら年々難化していました。
しかし、2021年度からの新形式の試験によって標準的な問題が多く出題されることになり、簿記検定試験は大きく変わります。
ですが、簿記の学習に必要な基礎知識は変わりません。
日々学習を積み重ね、合格を目指しましょう。
通信講座等を利用するのも手ですよ。
スマホで学べる&手厚いサポート付きだから安心